こんにちは、LisNET代表の長坂です。
私が「足で歩いた・現場で話を聞いた」日本全国の元気な地域サイトをご紹介します。
標茶町OnLineキャプチャー画面
釧路湿原のある町、北海道川上郡標茶町(かわかみぐん・しべちゃちょう)で町おこし・町の元気づくりにサイトを活用している「標茶町OnLine」野崎政則さんと仲間達の事例です。
野崎政則さんといえば、ネットショップ創成期、1997年から「ジンギスカン専門店のざき」を始められ、「nikuya.com」ドメインでも有名ですが、ネットショップ店長という顔だけでなく、地に足のついた町おこし活動・地域情報化の分野でも先進事例として数多く取り上げられるなど実績をあげられています。
そんな野崎さんが、今年、今までの活動の中でも最大規模のプロジェクトを立ち上げようとしています。
それはどのようなプロジェクトなのか?野崎さんの活動をご紹介します。
そして、野崎さんと標茶町の仲間たちのプロジェクトが成功するように、ぜひ応援してください。
まず、標茶町という町をご紹介しましょう。
SL冬の湿原号 北海道川上郡標茶町は釧路市の上に位置し、釧路駅からJRで約1時間の距離にあります。1月から3月までの冬の期間は、SL冬の湿原号が運行していて、私が標茶町を訪ねたときには、運良く乗車することができました。
JR標茶駅を降りると、標茶町内で唯一の市街地、約70店舗ほどの商店街があります。メインストリートの先には釧路川が流れていて、白鳥飛来地になっているそうです。釧路川を越えると野崎さんが経営する「のざき精肉店」があります。
丹頂鶴・SL冬の湿原号車窓から 足で歩ける標茶町はここまで。ここから先は車がなければどこにも行けない広さです。
都会育ちの私(?)にはイメージすることが難しいのですが、標茶町は「町」なのに、面積が東京都の半分の広さがあるのです。標茶町の端から端まで、車でも約1時間以上はかかります。
それもそのはず、あまり知られていないことですが、釧路湿原国立公園の面積の半分近くが標茶町にあるのです。そして、釧路湿原国立園内の最大の湖・塘路湖(とうろこ)が、野崎さんと仲間たちのプロジェクトの舞台です。
野崎さんのネットとの出会いは、1997年、(資)逸品の森本繁生氏が運営していた電子商店街「逸品.com」(現在は閉鎖)に魅せられたこと。
そして、地元の教育関係者と行政が、地域情報化のために開始していた地域インターネットプロバイダ事業を知ったことから始まります。
ジンギスカン専門店のざき 地域人口の減少・地域内消費の限界を強く感じていた精肉店の二代目である野崎さんは、インターネットを使って自分の自慢の商品(ジンギスカン)の販売をしようと思ったのです。しかし、ホームページづくりもパソコンも全くの初心者。何から初めていいのかさえ分かりません。
そんな時に知ったのが、地元の教育関係者と行政が立ち上げていた地域プロバイダ事業「標茶インターネットプロジェクト(SIP)」でした。民間サービスが行き届かない標茶町の地域情報化を目的に、学校職員と役場職員が中心となって1996年から活動を開始していました。
SIPを知って頻繁に出入りをするようになり、インターネットの初歩やホームページづくりの手ほどきを受けて、1997年、ネットショップ「ジンギスカン専門店のざき」が誕生しました。
野崎政則さん 1997年といえば、ネットショップのノウハウもまだ確立されていない時代。実店舗・精肉工場の経営に加え、ネットショップも始めたのですから相当忙しい毎日だったはずですが、野崎さんはさらに、SIPにも積極的に関わるようになります。
自分がネットショップを始めて実感したインターネットの可能性を、地域住民や商業者仲間・生産事業者仲間にも知って欲しいと、地域プロバイダ事業とIT講習事業を主業務にしたSIPに、地域の民間事業者としてボランティアで深く関わるようになります。
地域の教育機関と行政が立ち上げたSIPは、2002年、NPO法人「標茶インターネットプロジェクト(SIP)」と発展し、野崎さんは現在、その代表理事を務めていらっしゃいます。
標茶町OnLineキャプチャ画面 地域情報化のインフラ事業(SIP)は、ほぼ軌道にのり、ネットショップ運営経験も積み重ねた2002年、野崎さんはまた新しいことにチャレンジします。
標茶町をPRするネットショップ「標茶町OnLine」を楽天市場に出店です。
「標茶町OnLine」は、自分の店の商品を売ることが最終目的ではなく、自分の住む町「標茶町」を売る、良さを多くの方に知ってもらうこと・情報発信が目的です。それが結果的に、自然保護・地場産業の振興・観光客誘致・地元の自信に繋がります。
「標茶町OnLine」を始めるにあたり、野崎さんは次のようなメッセージを書いてらしゃいます。
1997年に独自サイト「ジンギスカン専門店のざき」というオンラインショップを始めてから早5年近く。その間ネット内外を通じてたくさんの人との出会いがありました。
そして彼らから『素晴らしいところに住んでいるんですね!』と言われ続けてきたのです。一人や二人ではありません。が、最初は「嘘だろ~?」「お世辞かな?」「冗談?」と思っていたのです。今白状しますが。(笑)
で、どうやら人は『しべちゃ』の景色を目のあたりにすると、あまりの美しさに感動するらしい、その迫力に圧倒されるらしい、ということが判ってきました。おもしろいもので、何回も言われているとだんだん自分もそんな気がしてくるんですね。不思議だな~!?
でも、具体的にどこが素晴らしいの、と聞かれてしまうと、ホントは実感がないんです。いつもあまりに見慣れて過ぎてしまっているのでしょうか。
だから、ゆっくりと周りを振り返って、自分が今居るところの素晴らしさを考えてみることも大事なことかもしれない、と思ったりしています。
そしてそんなことを考えているうちに、日本一のショッピングモール「楽天市場」で、こんな私の生き方や暮らしを、大きな声をあげて情報発信してみようと思い立ちました。
こんな大自然に恵まれた素晴らしい自分の立ち位置を活かして、自分が良いと信じてつくったもの、また自分が見つけたキラキラと輝いているものを、楽天市場を集う皆様に発信して行きたい、と思っています。
※標茶町OnLineより転載
「標茶町OnLine」を開設してまもなく2年。
楽天市場の出店費用などのコストは全て野崎さんが負担しリスク覚悟でスタートしましたが、現在は、標茶町の生産事業者10社で構成する(有)しべちゃ物産公社(代表取締役は野崎さん)の仲間が生産している商品も扱えるようになり、コスト的にも改善しつつ成長しています。
ここまでのところで、野崎さんの活動って、もう十分にスゴイと思いませんか?
寝る時間はあるのだろうか?って。
私は2月に標茶町を訪ねた時、ここまでのお話を聞くつもりでいたのです。しか~し、ここまでは標茶町プロジェクトXの前段だったのです。これからが、標茶町のプロジェクトXの本番です。
塘路湖エコミュージアム・あるこっと プロジェクトXの舞台は、標茶の町から車で約30分、釧路湿原内の最大の湖・塘路湖。
昔は海だったものが、海水が引くとともに出来上がった海跡湖だそうです。
塘路湖畔には、ログ(丸太)で出来た次のような大きな建物が4つあり、ほぼ同じ敷地内にあるかのように立っていて、1つのレジャー施設スポットのようでした。
凍った塘路湖に穴をあけてワカサギ釣り (1)釧路湿原の博物館「塘路湖エコミュージアム・あるこっと」
(2)標茶町郷土館
(3)キャンプ場、カヌー、釧路川リバーツーリング、わかさぎ釣り、犬ぞり体験、スノーラフティング、ジンギスカンバーベキューなど書ききれないほどの自然体験スポット「元村はうすぱる・レイクサイドとうろ」
(4)食事と宿泊が楽しめるホテル「ピルカ・トウロ」(※2003年末営業休止、2004年6月から営業再開)
冬は一面に張った氷上で行うワカサギ釣りが人気で、夏は一変、釧路川へのカヌーツーリングの出発点となり賑わいます。
塘路湖・釧路川・釧路湿原の自然体験が揃っている場所にあるのに、 (4)ホテル「オーベルジュ ピルカ・トウロ」が2003年末に営業を休止したのには理由があります。
ホテル「オーベルジュ ピルカ・トウロ」 このホテルは、行政(標茶町)が補助事業で建設して第3セクターとして運営していたのですが、町からの年間2000万円の委託料が負担となり、民間への運営委託に変更する準備のために、2003年末で営業を休止していたのです。
そしてなんと、このホテルの再建を、野崎さんと仲間たちが引き受けることになったのです!
カヌーにのる土佐良範さん ホテルを一緒に経営する仲間の1人が、土佐良範(とさ・よしのり)さん。
(3)の「元村はうすぱる・レイクサイドとうろ」の経営者でもあり、釧路湿原を守った男達として、NHKのプロジェクトXにも出演した人です。
NHK・プロジェクトX「釧路湿原 カムイの鳥 舞え」
土佐さんは3代続く漁師で、塘路湖・釧路川・釧路湿原の自然を知り尽くした人です。そんな土佐さんと野崎さんが一緒に会社を設立し(会社のメンバーは地元の仲間五人)、ホテルの経営に乗り出します。着々と準備は進み、2004年6月に営業を開始しました。
土佐良範さん(元横綱の曙に似たビッグな方です) 自然の素晴らしさも恐さも熟知し、自然の恩恵を受けて漁師をしてきた土佐さんだからこそ出来る自然体験事業と、ホテル経営が一体となるのです。釧路湿原の博物館・郷土資料館もあり、自然の宝庫の標茶町です。自然体験を思いっきり楽しんでノンビリと宿泊もできるようになります。
多くの人が標茶町を訪れてくれるようになれば、地域の経済活性化だけでなく、地元の人たちの自信にも繋がります。
「標茶町OnLine」では、今後さらに積極的に情報発信をし、ホテルのPRや自然体験と宿泊のセットプランの販売をしたり、予約を受け付けられるようにしたりと、お二人の構想は広がるばかりです。
いかがですか?この壮大なプロジェクト、成功すると思いませんか?
私はきっと成功すると信じていますし、ワクワクしています。
『僕は大したことはしていないですよ。周りの人が動いてくれるからできるんです。』と呑気そうに話す野崎さんですが、野崎さんの活動・行動が、着実に周りの人に影響を与え広がっているのだろうと感じました。
また、どの事業も野崎さんご自身がリスクと責任を背負い、自ら率先して行動しているのです。求心力がないわけがありません。
きっとこれからも、標茶町の方たちは野崎さんと一緒に、呑気そうに(笑)標茶町の元気づくりをされていかれるだろうと思いました。
※ホテル「オーベルジュ ピルカ・トウロ」の写真と、カヌーにのっている土佐良範さんの写真は、「標茶町OnLIne」より転載
エゾシカ・SL冬の湿原号車窓から LisNET地域サイトネットワークでは、OSMC(オンラインショップマスターズクラブ)と共同で、標茶町自然体験&野崎さん講演セミナー&ネットショップセミナーツアーを組む計画があります。
2004年9月22日(水)~24日(金)の2泊3日を予定していますので、あけておいてくださいね♪
みなさん、ぜひ、一緒に標茶町に行きましょう!
2004/06/06
